犬の癌、腫瘍の発見

我が家に迎えた時は12歳。飼い主さんが亡くなり親族の間でも犬の引き取り手がないということで相談をうけ、我が家で引き取ることにしました。ミニチュアダックスフンドのメス犬でした。
老犬といってもとても元気で、定期検診の時も問題はありませんでした。
犬のからだの異変
我が家に迎えてから1年ほど過ぎたころから、歩行のスピードがとてもゆっくりになってきたことに気が付きました。
痛そうにしている様子はなく、ただゆっくり歩いているように見えました。
足の付け根や全身のマッサージなどをしたり、関節に良いというサプリメントを与えていました。
老犬でからだの衰えもあり、行動がゆっくりになって普段も寝ている時間が増えてきていましたが、とくに体に異常もなく、毎月の検診でも、「年齢のわりには血液検査の数値もよく元気ですね」といわれていました。
思い返してみるとこの頃から、犬は体に違和感を感じていたのかもしれません。
犬からのサイン
それはほんとうに突然のことでした。朝ごはんを用意しているといつものように近くによってきてご飯をもらえるのを待っていました。しかし、ご飯をあげようとするとケージに入り出てこなくなりました。名前を呼べば私の顔をみて、シッポをふります。
ケージの中までご飯を持って行くと、2・3口ほどペロリとしてご飯を残してしまいました。これが、私が感じ取った最初のサインです。
何度かケージから出てくるように促すと、後ろ足を引きずるようにとても歩きづらそうにして力をふりしぼって出てきました。あまりに弱々しい様子に、ドキンと心臓が大きく脈を打ちとても動揺しました。
腫瘍(癌)の確認
どこか怪我をしていないか、全身をくまなくゆっくりと触りながら確認しました。
どこを触っても痛がるようすはなく、触らせてくれましたが後ろ足の付け根から腹部を触ったときに初めて異変に気が付きました。
触ってすぐあたまによぎったのは「癌」でした。注意深く触ってみると、固さがありつまんで触れる部分より体の中に広がっているようなしこりが確認できました。
毎日、グルーミングをしながらからだ全身を触っていたはずなのにまったく気が付きませんでした。
老犬の癌の診断、余命宣告
慌てて病院へいくと「乳腺腫瘍」の疑いがあるということで、検査をしてもらうことになりました。
悪性・良性の診断
これまで、高齢のわりには内臓の数値も良いですね。と太鼓判をもらっていたのですが、最初の診断は肺への転移の可能性もみられる「悪性腫瘍」の可能性が高いという診断でした。
その時点ではあくまでも可能性があるという段階で、悪性、良性の特定には切除した腫瘍を病理組織検査しなければ分からないのですが、レントゲン検査では転移の可能性がみられるため「悪性腫瘍」ではないかとのことでした。
犬の癌の専門病院での診断
かかりつけの病院では、今後の治療方針も含め「セカンドオピニオン」として専門病院での検査を勧められました。紹介状をもらい、病院から予約などの手配をしてもらい検査結果などを持って行きました。
高齢であることや、最初の検査の結果などをみて犬の身体に負担がかからない範囲での検査をおこないました。
ですが、検査をはじめる前の触診で、進行が速い「悪性腫瘍」の可能性がとても高い事を告げられました。
触った時にコロコロと動く腫瘍でないことや、かかりつけの病院から持ってきたレントゲン写真をみても転移していることは明らかでした。
末期の癌
専門病院での診断は「末期」悪性腫瘍である可能性が非常に高い。
【余命2か月~3カ月】
良性の脂肪種というわずかな望みは完全に打ち消されることになりました。急速に腫瘍が大きくなる悪性腫瘍で、手で触れる範囲だけでなく体の中で大きく腫瘍が広がっていることが分かりました。
毎日身体を触って、異常がないか高齢のため腫瘍や異常などに細心の注意をしていたにもかからず、からだの中で大きくなり続けていた腫瘍に手で触れる状態になるまで見つけてあげられなかった自分を、とても責めました。
早期発見できていたら転移を防ぐことができたのかもしれない。家族として迎えたときに避妊手術をしていれば、この癌は防ぐことができたのかもしれない。色んな思いが頭を巡りました。
「末期がん」の宣告を受けたとき、あたまのどこかでは覚悟していながらも、私を気づかい尻尾をふりながら顔を舐めてくれる愛犬を抱きしめながら「たら、れば」を繰り返しながら、なにか兆候はなかったのかと振り返り、歩行のスピードが落ちて来た数カ月前の「小さな気づき」を思い出しました。

老犬の癌 限られた治療と後悔
高齢のため、癌を取り除く積極的な治療は諦めることになりました。
- 麻酔のリスク
- 抗がん剤や放射線治療のリスク
専門病院の獣医師から勧められたのは「緩和治療」でした。癌がある身体でも最期の時まで幸せに穏やかに暮らせるように腫瘍によるからだの「痛み」を緩和する治療方法で老犬にとっての「生活の質」を落とさないことで、ストレスを与えないことが治療のメインになる、癌と共存する治療でした。
かかりつけの医師との信頼関係
専門病院での診断結果をもとに「緩和治療」で愛犬と残された時間をどのように過ごしていくかを、信頼できるいつものかかりつけの獣医師と相談しながら、今この子にしてあげる全てのことを考えました。
- 好きなものをなんでも食べさせる(幸せな食事)
- 好きなことをする
- 痛みをとる
わたしがお世話になった獣医師はとても親身に、丁寧にこれからおこるさまざまな症状などたいして、備えて対応できるようにアドバイスをしてくれました。
「看取り治療」ともいわれる、病気を治すための積極的な医療行為をおこなわない治療は、最期の時に一歩ずつ近づいている恐怖と、「もしかしたら」という期待が混在し、信頼できる獣医師とのコミニュケーションがなければ飼い主さんにとってはとても苦しい時間になってしまうと思います。
普段から、万が一のときにそなえて信頼できる獣医師と愛犬の体調管理ができているととても心強い存在になります。
犬の癌、進行中のサイン
確実に急速に広がっていく「悪性腫瘍」に対し、免疫力をあげるサプリメントや、痛みの緩和の治療をおこなっていきました。
ですが、日に日に愛犬の身体は「癌」に蝕まれていきます。ちょっと元気になったり、はしゃいで遊んでみせたりする日もあれば、身体をまるめ1日じっと動かない日もありました。
大好きだったご飯は食べらくなっていきました。
腫瘍の影響で後ろ足は思うように動かすことができず、気力も下がっていくにつれ食欲も落ちて行きます。
さまざまなおやつや食事を考えては食べさせ、でもそれもすぐに食べられなくなる。
それでも、この子は私を気づかい尻尾をふってくれました。
なにをしてほしいのか、どこが痛いのか、この時ほど犬が人間の言葉を話してくれたら良いのにと思ったことはありません。
毎日の様子を見ながら、全身の状態を把握しながら愛犬が見せるしぐさや行動で、気持ちを察することしかできません。

老犬の癌、最期を迎える愛犬
余命宣告をうけ、奇跡が起こることを祈りながら数カ月愛犬に寄り添いながら、できることはないか?ともどかしさを膨らませ闘病の日々を送ってきました。
しかし、最期のその時はやってきてしまいます。
自力で起き上がって来られなくなったため、ハーネスを使いからだを支えて朝のおしっこをすませると、前足の力だけで、私の膝の上によじ登るようなしぐさをみせました。
「いくよ」という最期のサインだったのかもしれません。抱きしめて声をかけながら、身体を撫でているとブルブルと身体を震わせように感じました。大きく一呼吸すると静かに眠るように旅立ちました。
最後に
乳腺腫瘍メス犬に多く見られる腫瘍で、適切な時期に避妊手術をうけることで癌のリスクを減らせることが分かっています。
我が家に迎えたこの子は、避妊手術は受けていませんでした。迎え入れるときに12歳という高齢だったこともあり、避妊手術はしないという選択をしました。
7歳以上の老犬の時期(シニア)に入っても早期発見の場合には、完全に腫瘍を摘出することもできます。
老犬でも高齢になると麻酔へのリスクが高まり、手術を受けることも命にかかわり、完治させることが難しい場合などもあります。
加齢による体の機能の衰えや食欲の低下などもありますが、病気を知らせるサインの場合もあります。
定期的な健康診断を受けていても発見できない場合もあります。
高齢期に入ってきたら、少しの変化にも気が付いてあげられるよう愛犬の日頃の観察がとても重要です。
とくに腫瘍は、スキンシップを含めたからだのケアで発見されることが多いので、毎日愛犬のからだをくまなく触って確認しましょう。
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