野良犬は日本にはいないの?

野良犬を近年見かけなくなった理由について知る前に、まずは野良犬とはどのような意味を持っているのかについてお話しします。漠然と飼い犬でない犬が野良犬だと考えている人が多いですが、下記の2点も野良犬に該当します。
まず1つ目に飼い犬として登録がされていない場合です。これは前述したとおり、飼い主がいないことを意味しています。2つ目にワクチン接種を行っていない犬が対象となります。今では犬のワクチン接種は飼い主の義務です。これを行われていない犬は、飼い主がいないことが多いため野良犬として見られることが多いです。
しかし、一般的に野良犬はその多くが人間に捨てられた元ペットで市街地に住んでいる犬を指します。似た表現に「野犬」がありますが、野犬は人間に飼われることなく自力で生きている犬で、野山に住み野生化した犬を含むという点で野良犬と使い分けされているようです。どちらも狂犬病予防の目的から発見されると保健所などに保護(捕獲)され、基本的に殺処分されることになります。
野良犬がどういった犬を示すのかについて整理したところで、日本には野良犬が多いのかどうかを以下に説明していきます。
都市部にはほとんどいない
日本では野良犬の数が減ってきているのは事実です。特に近年、都市部では野良犬を滅多に見かけないようになりました。 しかし、あくまで都市部では見かけないだけで野良犬の数はゼロではありません。野良犬が身を隠すことができる自然が多い場所では、咬傷事故や衛生面の問題など野良犬による問題が残っています。
地域によっては野良犬による問題が残っていることを認識しておきましょう。
野良犬による問題は日本では減少傾向にある
地域によっては野良犬は残っているものの、日本全体では減少傾向にあります。以下の項目では、なぜ野良犬が減少傾向にあるのかを解説していきます。
日本の街中に野良犬がいない理由

今でも完全に野良犬がいなくなったというわけではありませんが、一昔前と比べると圧倒的に野良犬の数が減少していることがわかります。では、なぜ野良犬はここまで減少したのでしょうか。その理由についていくつかご紹介します。
①狂犬病予防法が定められたから
野良犬が減少した理由の一つに、狂犬病予防法が定められたことが挙げられます。 狂犬病は動物によって媒介されるウイルス感染症(中枢神経系人獣共通感染症)で、脳と脊髄に炎症を引き起こす病気です。発病すると治療法がなく、ほぼ100%死に至ります。 犬だけでなく人にも感染するため、狂犬病の野良犬が人を噛む咬傷事故などによって発生しやすいことが問題とされていました。
そういった狂犬病対策のため、飼い主による「飼い犬登録」「係留」「狂犬病ワクチン接種」義務や、保健所などの保護・収容義務が定められたという背景があります。
飼い主には「登録」と「つないで飼う」義務がある
前述した狂犬病対策のため、犬を飼っている飼い主には「畜犬登録」と「狂犬病ワクチン接種」が義務付けられました。また「係留」義務により、外に犬を出すときにはリードにつないでおくことも義務化され、いわゆる放し飼い状態の犬がほとんど日本から居なくなりました。
野良犬は積極的に「収容」しなければならない
次に、保健所による保護活動も大きな理由の1つです。一昔前までは保健所が野良犬を保護する件数が野良犬の数に対して少なかったため、街中をたくさんの野良犬が徘徊していました。
しかし近年、保健所が飼い主のいない犬を積極的に保護し、飼い主捜しを行っているため、野良犬が一気に減少したと考えられています。新たに野良犬が生まれても、その度しっかり保健所が保護してくれるため、最近では見かけることがなくなったのです。
②殺処分によって野良犬の数が減ったから

上記で保健所が野良犬を保護しているから野良犬が減少傾向にあるという話が出ましたが、元々多かった野良犬がここまで減少したのはなぜでしょうか。
その理由が、1980年代~2000年代にかけて、保健所で行われた犬の殺処分数が非常に多かったことです。この時の殺処分対象がほとんどが野良犬だと考えられているため、殺処分により野良犬の数が減少したものと考えられます。
③飼い犬の室内飼育が増えたから

野良犬が減少した理由は保健所の保護活動だけではありません。野良犬の中には飼い犬であったものの、何らかの事情により飼い主が手放してしまったことにより、野良犬化してしまうケースも多かったのです。
これは一昔前まで室内飼いよりも屋外で飼うという方法が一般的だったためです。意図的に手を離したのではなく、雷の音に驚くなどきっかけがあり、自ら犬が逃げ出してしまい、飼い主と再会できずにそのまま野良犬となってしまうケースも多々ありました。
しかし、現在では室内飼いが一般的となっているため、家から逃げ出してしまう犬が減少しました。これにより飼い犬が野良犬化してしまうケースが減少し、結果野良犬が減少したことに繋がっています。
④野良犬同士で繁殖する機会が減ったから
一昔前までは野良犬が非常に多く、野良犬同士で交配することによりさらに野良犬を増やしてしまうという状況でした。しかし野良犬自体が少なくなったことに伴い、繁殖の機会が減ったことも野良犬がいなくなった理由の1つと言えるでしょう。結果論にはなりますが、野良犬が減少したことにより、更に野良犬が生まれてしまうという現象が抑えられているのです。
不幸な野良犬がいない国にするためにできること

減少傾向にあるものの、今でも住む家がなく彷徨っていたり、悲しいことに殺処分対象となってしまう不幸な野良犬が日本にはたくさんいます。 不幸な野良犬がいない国にするために、私達ができることはあるのでしょうか。
飼い主が飼い犬の一生に責任を持つ
野良犬が増える大きな原因の一つに、飼い主が犬を捨ててしまうことにあります。犬を飼う際は、飼い主が寿命を終えるまでしっかりと責任を持つことが重要です。
飼い犬として譲渡する機会を増やす
もう一点が、現在野良犬となってしまっている犬を、飼い犬として飼ってくれる人に譲渡する機会を増やすことです。保健所や支援団体が定期的に譲渡会を行っていますが、犬を飼う際はそういった譲渡会から引き取るようにしましょう。 犬を引き取る以外にも、譲渡会への寄付やボランティア活動など、野良犬を救うために出来ることを一人一人が意識することが重要です。
まとめ

今回お話ししたような理由により、近年では野良犬を見ることが少なくなりました。しかし、野良犬がいなくなったからといって殺処分がなくなったわけではありません。悲しいことに現在も飼育を放棄してしまう飼い主がいるため、保健所に引き取られ、殺処分されてしまう犬が後を絶たないのです。
ペットを飼うことは、その一生に責任をもつことです。ペットの健康・安全に気を配り、最後まで責任をもって飼うという基本的なことから正していかなければ、野良犬はいなくなっても殺処分はなくならないのです。



